【バンベルク醸造所】シュレンケルラのラオホビア
- 2021.05.08
- テーマ研究: ドイツビール文化 ドイツ バンベルク ビール 気まま醸造所巡り・ぶらり旅
- スモークビール, ドイツ, ドイツレストラン, バイエルン, バンベルク, ビール, ラオホ, ラオホビア, 旅行, 歴史, 燻製ビール, 特産, 種類, 観光
現在でも18世紀の街並みの残るバンベルク。ランドマークの四本の塔を持つ大聖堂のそびえたつ丘のふもとには歴史深い木組みの建物があります。
バンベルクといえばユネスコ世界遺産にも登録されている旧市街、そして名物のバンベルクラオホビア。燻製・スモークビールです。
古い木組みの建物には Heller醸造所の”シュレンケルラ”のラオホビアを求めて海外からもビールファンが集まります。
シュレンケルラの歴史
古い歴史を持つシュレンケラ、この歴史ある建物がある住所が初めて記録に現れるのは1405年 “Haus zum blauen Löwe” としてでした。その後樽職人や醸造家たちによって、このドミニカ通り6で醸造が行われました。
(現地では、シュレンケ”ル”ラのルはほとんど発音しないので以降”シュレンケラ”と書かせていただきます。)
現在の所有者6代目のTrumさんのご先祖Graser氏が1866年にヘラー醸造所のブラウマイスターとなりました。
シュレンケラの名前の由来となったのは2代目のAndreas Graser氏。
事故で怪我して曲がってしまった足で、下ろした手を振りながら歩く様子がschlenkern(シュレンケルン・腕や手をぶらぶら動かす)千鳥足だったことからそのあだ名がつき、そのまま飲み屋の名前となりました。。
ちなみに、今のシュレンケラの看板をイメージしたのも彼でした。1405年当時建物名前の一部 blaue Löwe (青い獅子)とBiersterne 醸造の星と呼ばれるヘキサグラム、そしてご本人シュレンケラが描かれています。
シュレンケラさんは、ビールボトルとキャップにも描かれています。
バンベルクでは皆シュレンケラとしてなじみがあるので、醸造所の本来の名前 Heller Bräuときいてもほとんどの人が知らないというのだそうです。
地元バンベルガーや観光客の集まる旧市街のビアレストランでは現在ではビール醸造はおこなわれていません。近くのシュテファンベルクという丘に醸造施設があり、さらに丘の中を地下施設としてビールの貯蔵がされています。これをビアケラーといいます。
ケラーの中は自然の冷蔵庫のように冷たい温度が保たれています。
この醸造施設でシュレンケラの味の決め手となる自家製モルトの焙乾燥を行っています。
昔は、中欧のほとんどのビールはスモークビアだったといわれています。
ビール醸造に必要な麦芽作りの乾燥の行程で、ドイツの気候では火を使った方法がとられていました。
覆いの無い直火によって煙で燻されたモルトから作られるのは、色の濃いスモーク味を持ったビールだったのです。
19世紀には、工業化により、火を使用してモルトを生産する必要がなくなり、ラオホビールは姿を消していきました。
バンベルクやフランケン地方ではいまだにラオホビールは生産されていますが、モルト工場で生産された麦芽が使用されています。
前に述べたように伝統的にモルトを作っているのは現在では、世界でシュレンケラと同じくバンベルクのシュペチアルのたった2件なのです。
こちらの投稿でより詳しくラオホビアのことを紹介しています。
シュレンケラのビール紹介
Aecht Schlenkerla Rauchbier – Märzen
メルツェン
バンベルクドミニカーナー通りのお店でほとんどのお客さんが飲んでいる黒に近い濃い茶色のラオホ、パンチが強い看板ビール。
数世紀にわたり伝統的につくられているオリジナルレシピで、ブナの木で燻製させた自家製燻製麦芽を100%使用したMärzen メルツェン。
伝統的なオークの木樽で貯蔵されそのままシュレケラのお店でグラスに注がれます。
麦芽比重: 13,5%
ABV:5,1%
IBU: 30
Schlenkerla Rauchweizen
ラオホヴァイツェン
優しいラオホの香りのヴァイツェン。ヴァイツェンは大麦と小麦の麦芽を使って作られ、うち大麦麦芽が自家製の燻製麦芽です。
麦芽比重: 13,2%
ABV:5,2%
IBU: 20
Aecht Schlenkerla Rauchbier- Urbock
ウアボック
夏に仕込まれ、秋のStarkbierzeit(シュタルクビアツァイト: ハイアルコールビールのシーズン)に飲まれるボックビア。
10月ごろから始まります。
麦芽比重: 17,5%
ABV:6,5%
IBU: 40
Aecht Schlenkerla Eiche
アイヒェ
英語ではオーク。クリスマス時期に飲まれる限定ドッペルボック。
普段のシュレンケラのラオホ麦芽はブナの木で燻されているが、こちらはオークを使っている。
麦芽比重: 18,9%
ABV:8,0%
IBU: 40
シュレンケラでお食事
ドミニカ通りのシュレンケラでは、お店の通路にある窓口でビールを買って店前の通りで飲むこともできますし、歴史あるレストラン内で座ってゆっくりビールを飲むことができます。
もちろんお食事も出していて、フランケン地方やバイエルン料理を堪能できますよ。
ここの名物はBamberger Zwiebel (バンベルガーツヴィーベル: バンベルクの玉ねぎ)です。
他にもLeberkäseもおすすめです。
ラオホビアについては、2杯目は1杯目よりもよく、3杯目は2杯目よりもっとおいしい。ということでゆっくりと楽しむのがよいと言われています。そして、ラオホにハマってしまうんですね。
皆さんもバンベルクに来たらぜひ歴史あるシュレンケラで名物ラオホビアを堪能してください。
プロースト!!
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