【ドイツビールの世界】ボックビール~リッチな味わいのハイアルコールビール
- 2020.05.18
- テーマ研究: ドイツビール文化 ビール
- bockbier, ドイツ, バイエルン, ビアスタイル, ビール, ビールスタイル, ボックビア, ボックビール, 世界のビール, 歴史, 由来
ドイツ発祥!ボックビールて何?
南ドイツバイエルン地方でほとんどが醸造されている伝統的なビアスタイル『ボックビール』。毎年11月から5月の間に飲まれます。
このビールの特徴は、
モルトの香りが豊かで甘く、味の特徴としてトースト香やレーズンなどを感じるような 贅沢なビール。ちなみに栄養価も高いです。
多くの場合泡はクリーミー。
苦いビールは苦手、リッチでコクがあるビールがすきという人におすすめです。
ただし、このビールはハイアルコールなので飲みすぎに注意。
最低でも16度と濃い濃度の麦汁を使いアルコール度数は最低6%です。
(普通のビールのアルコール度数は基本的に4,5~5%です。) さらに強いダブルボックや、アイスボックもありアルコール度数16度といったボックビールもあります。
ボックビールの歴史と由来
現在はバイエルン州メインでつくられているボックビールですが実は北ドイツ出身。
16世紀にハンザ都市のEinbeck アインベックという醸造が盛んな街からミュンヘンに来たビールがそこで変化し現在のボックビールとして愛されています。
名前の由来は、街の名前『アインベック』がバイエルン訛りになり、アインぺック ⇒ ボック ビールとなりました。当時のアインベックのビールは上面発酵で質がよく高価で何よりも日持ちするビールでした。
そのため13世紀にはドイツだけでなくイタリアにも輸出されていました。
初めてのアインベックのビールがミュンヘンにやってきたのが1550年代、当時のバイエルン公ヴィルヘルム5世 がこのビールを大変気に入り、おかかえのブラウマイスターにアインベックのビールを作らせることにしました。なんせ北ドイツからビールを運ぶのにも多くの費用が掛かるのですから。
その際、醸造施設としてヴィルヘルム5世がHofbräuhausを創立。Braue Hofbräusブラウエ ホーフブロイ。(のちにヴァイスビールの醸造施設Weiße Hofbräu ヴァイセ ホフブロイもつくられます。)
ミュンヘンでもボックビールの醸造がスタートした際、
本来のアインベックビールは大麦・小麦麦芽や生の小麦を使用した上面発酵ビールでしたが、当時夏場の醸造が禁止だったことと1516年に公布されたバイエルンビール純粋令に則りミュンヘンで当時使用できた原料などから下面発酵のビールミュンヘン風としてつくられるようになりました。
当時は、バイエルンの公爵とその周りだけが飲んでいましたがいましたが、1610年には一般の市民や居酒屋などにも販売するようになりました。
その後、イミテーションのアインベックビールでは満足いかないということでアインベックから醸造家をミュンヘンに呼びオリジナルのアインベックビールを作らせました。
ドッペルボックビールといえば、『液体のパン』と呼ばれていたぐらい栄養分があります。
中世の断食時期に修道士たちは固形のいわゆる食事をとってはいけなかったが液体の摂取は許されていました。そこで、修道士たちは修道院で栄養価の高いドッペルボックビールを醸造し断食期間を乗り越えていたそうです。
ボックビールの種類
11月から5月の間に飲まれるボックビール。
そのためバイエルンには第五の季節があると呼ばれています。
季節ごとに、春やクリスマス時期に飲むボックビールもあります。
自家製のボックビールの樽明けの日には、常連さんやファンたちが醸造所に集まり今年最初の各種ボックビールを楽しみます。
Dunkel Bock: デュンケルボック
Festbock (Weihnachtsbock) : フェストボック、クリスマスボック
Doppelbock: ドッペルボック
Maibock( Frühlingsbock Hellerbock) : マイ(5月の)ボック
Eisbock: アイスボック
Weizenbock: ヴァイツン ボック
ドイツビールの種類一覧はこちらの記事から
Bockbieranstich ボックビール樽明けイベント
ボックビールが出来上がると醸造所がいわゆる樽開けのお祭りをします。
バンベルクの人気醸造所では入場するために列ができるほど。
醸造所併設のビアガーデンに大勢のファンが押し寄せ今年のその季節のボックビールが味わえます。お祭りから翌日は各醸造所や居酒屋などでもボックビールが味わえます。
写真はバンベルクにあるグライフェンクラウ醸造所のボックビールたる明け祭り。地元や隣町、ビールファンの観光客なども集まります。
おいしく飲むためのアドバイス
モルツのアロマを感じるため、飲むときの温度は8-10度ほどがいいと言われています。
(冷たすぎると本来の甘みやうまみが感じづらくなります)
また、味も濃厚なボックビールは肉料理によく合いますよ。
[…] […]